「綱吉。君、最近調子悪いの?」
「…いきなり窓から入ってきてなんなんですか?ヒバリさん」
窓枠に手を掛けたままの雲雀を見て、綱吉は溜息をついた。

  熱視線

「で、どうなの?」
綱吉の質問は完全に無視して、雲雀はさらに言葉を重ねる。
「べ、別に、具合が悪いわけじゃないんですよ。ただ…」
「ただ、なんなのさ?」
話してもいいものか、と綱吉は少し躊躇した。

が、雲雀がこのままでは引かないことはよく知っているので、仕方なく再び口を開く。
「…ただ、よくわからないんですけど、最近いつも見られてる気がするんですよ」
例えば登校してるときや、家にいるとき、視線を感じるのだ。
それも凝視されてるような気がする。
「だいたいどこから視線がきてるのかはわかるんですけど。怖くて、確かめる気には…」

視線に温度があるのかは知らないが、あるとすればまさに熱視線。

「ふーん。ねぇ、綱吉。今はどうなの?」
「今も、ありますね」
で、どこ?と綱吉に近付いて雲雀はあたりを見回す。
「あの、天井の隅の…」
ドア側の天井を指さした直後、
ヒュッと雲雀のトンファーが風を切り、天井に深く突き刺さる。
「なにするんですか!ヒバリさんっ。天井に穴が空いちゃったじゃないですか〜」
「そうですよ、雲雀恭弥っ。綱吉君の大好きな僕の顔に傷がついたらどうしてくれるんですか!」

って。骸!
トンファーの刺さった位置から少し離れたところの天井が外れて、骸の顔がのぞいていた。
「……」
「…あのねぇ。綱吉は天井の心配したの。ストーカーの心配なんてしてないんだよ」
さすがに雲雀も骸に呆れた顔を向ける。
「いいえ。綱吉君は優しいですから、そんなことはありません!」
…優しくても他人の部屋に勝手に隠し扉まで作ったストーカーを心配する必要はないと思う。
「だいたい、雲雀恭弥。綱吉君に馴れ馴れしいですよっ。もっと離れてください!」
「うるさいよ、君」
「僕なんか以前手土産も持って玄関から伺ったのに追い出されたんですよ。なのになんで窓から入ってきた雲雀恭弥は追い出されないんですかっ。ほかにも…」

聞いちゃいない。

「綱吉。このまま警察呼んだら?」
「そうですね。そうします」
未だに語り続けている骸にさっきよりも大きな溜息をついた。

 end

ヒバツナ?ヒバ+ツナ?雲雀サンが綱吉に優しいからヒバツナと言い張ります
因みに、骸さんが持ってきた手土産とは大きな薔薇の花束と指輪です
追い出されるのも当たり前
(06/12/12)

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