最強少年、最凶少女6

雲雀の感極まった声に意識を戻した生徒たちが見たものは。
美少女転入生雲雀が、あの『ダメツナ』(ぐったりとしている)を抱きしめていて、
「じゅっ、じゅーだいめぇ〜。しっかりして下さいぃ〜」
その状態を見て獄寺が泣きわめいているという、
有り得ない光景だった。

「オラぁってめー、十代目を放しやがれぇ!」
獄寺が雲雀を引き剥がそうと怒号を浴びせる。
獄寺の十八番のダイナマイトは、彼の敬愛する十代目が敵の腕の中では全く役に立たない。
「ちょっと、君。僕と綱吉の感動の再会の邪魔しないでくれる?」

これが『感動の再会』?
雲雀の主張する『感動の再会』とは片方がもう片方を締め上げることなんだろうか?

「…っ。だーっ。い、一体なんですかっ?俺、見ず知らずの人と『再会』出来るほど器用じゃないんですけど!」
いや、それは誰も出来ないから器用とかの問題じゃないんだが、
混乱中の綱吉からしてみれば『ダメツナ』演技が出来ているだけで褒めてほしいくらいの状況だから、致し方ない。
何はともあれ、その必死の台詞を聞き、ピタッと雲雀が綱吉に抱きつくのを止める。
雲雀はマジマジと綱吉を見つめた。
「綱吉。さっきの台詞、もう一度言って」
「?『俺、見ず知らずの人と『再会』出来るほど器用じゃないんですけど』…って、どうしたんですか?なんで泣いて…っ」

雲雀は声も出さずに泣き出していた。

 6end

雲雀の目にも涙。
(07/01/31)

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